Beta-max様 『おめでとうございます。』
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おめでとうございます。



『アルベルト君なんて、ダイキライだっ!!』
 と言わんばかりにぷむのすけはぷいっとアルベルト君に背中を向けた。
 アルベルト君はむっとする。
 ねずみ相手に本気になることもないのだが、それでも、この態度にはむっとする。
 説教の一つでもしてやりたいのだが、ぷむのすけはアルベルト君のねずみではない。友達のフランちゃんのねずみなのである。むやみに叱るわけにはいかない。
 アルベルト君のへけたろうにねずみの友達を作ってやろうと、フランちゃんと相談して、二人いや、二匹を引き合わせたのである。
 一緒のゲージに入れて様子を窺っていた。
 最初は警戒していたけれども、すぐに仲良くなって、寄り添って眠ったり、よじ登ったりと楽しそうに遊んでいた。
 しかし、いつまでも二匹を一緒にしておくわけにはいかない。
 それで、フランちゃんと相談して、時々、二匹を一緒に遊ばせるようになったのだが。
 帰る時になるとぷむのすけの態度は一変する。
 へけたろうを連れて行くと、実にフレンドリーな態度で出迎えてくれるのだが、帰る時になると喧嘩でも売りそうな態度に出るのだ。
 フランちゃんは、『ぷーちゃんは、へけたろうちゃんが大好きなのよね』と言うが、それにしたって、へけたろうの飼い主は自分なのだから、愛想良くしろとついねずみに詰め寄ってしまいそうなアルベルト君なのである。
 けれども、へけたろうはぷむのすけと遊ぶのを楽しみにしているので、連れて来ないのはへけたろうが可哀想だし、とも思う。
 どうして、こいつは可愛くないんだと、アルベルト君は毎回思うわけなのだ。
「大丈夫よ、ぷーちゃん。またへけたろうちゃんは遊びに来てくれるからね」
 そうフランちゃんに言われて納得したのか、ぷむのすけは差し出されたフランちゃんの掌に乗っかった。





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