Monkey Funky Baby
「スカーレットは、お人形が大好きなの」 いつもの如くにマードックの一見冗談に取れる本気の遊びが始まった。 毎回、これでもかというくらいに様々なキャラクターが出演するマードックの脳内世界には舌を巻く。非現実的なものから非常に現実的なキャラクターまで、よりどりみどりだ。 今回はどうやら、スカーレットという幼児とそのお友達の探偵バトラーの二役に挑戦のようだ。実際に、傭兵なんかやっているよりはライターに転職すればいいものをと思うこともあるわけだ。 「まあ、怖い顔をした人ね」 マードックは上目遣いに、何度か瞬きをするとおしゃまな女の子が得意とする頬に人差し指を当てるポーズをする。 何故なのか、似合うのだ。 変だと思うが、可愛いのだ。 「そんなことはないよ。お譲ちゃん」 フェイスも馬鹿馬鹿しいと思うが、マードックが可愛いと思った瞬間に乗ってしまったのだ。こんな仕草が可愛いと思う時もあれば、こいつは真性のアホウだと呆れる場合もある。アホウだと思えば、激しい突っ込みを入れるか、黙殺するかのどちらだが。 それがどんな基準の元に判断されているのか、自分にだってわかりはしない。 ホモじゃないのだ。 コングじゃないが、男だけは勘弁してもらいたいのだ。 確かに、もてる。つまり、女でなくとも男にももてる。これは美男子に生まれてきてしまった宿命なのだ。幾度も泣いて縋る女性を袖にしてきたし、未だ騙されたことに気付かないでいる女性もいる。 小さい頃から、まあ、詐欺的な行為に関し罪悪感は感じたことはないくらい図太い神経をしていることは立証済みなのに、どうしてマードックが可愛いと思う自分にこんなに動揺しなくちゃならんのだ。 「でも、男はみんな狼だって、いうわ。ああ、バトラーは別よ。大切なお友達ですもの」 「じゃぁ、試してみるかい?」 どうして自分はそんなことを言ってしまうんだと、突っ込みを入れながらもフェイスはマードックの手を取った。どうかなさったの? とでもいいだけに首を傾げるマードックがしつこいようだが可愛く見えてしまうのだ。 「いやよ。食べられてしまうのは嫌だわ」 「食べやしないさ。男は狼じゃなくて、ナイトなんだよ」 天性のスケコマシであるフェイスの口説き文句のボギャブラリーは豊富である。なにやかやと、騎士がどうゆう人達なのか、あることないことでっち上げ出す。スカーレットになりきっているマードックは本当なの? とか言いつつも、笑いながら聞いている。 「だからね・・・・・・」 何がだからなのか、全く話しの展開とは関係なく、フェイスはベッドの端に座っていたマードックを押し倒すついでに口唇を重ねる。ただ、重ねるだけだ。 マードックの背中がベッドに到達する直前にフェイスは楽々と、手が届かない辺りまで離脱した。マードックを見習ったわけではないだろうが、見事なタッチダウンだ。 多分、次はバトラーが出て来るだろう、スカーレットは傷ついたとか言って、わかっていながら可愛いと思った瞬間、何も考えられなくなる自分に深い溜息を零す。 別にセックスしたいわけじゃない。 絶対はそれだけはゴメンだ。 お尋ね者になったとしても、ホモにはなりたくはない。 男のケツの穴よりは、蜘蛛の巣が張った70歳のバーさんのマンコの方がマシだといえるくらいにフェイスは女好きなのである。 でも、可愛いと思った瞬間マードックをからかいたくて仕方なくなるのだ。 ほとんど病気の領域だ。 フェイスはそう思いつつも、ベッドから起き上がったマードックを相手にする為にソファーの後ろへと回りこんで体勢を整える。 コングが戻って来て二人の襟首を持ち上げて止めるまで手の変え、品を変えしてマードックをからかい倒すフェイスの姿が高級ホテルの一室で続けられていた。 |
The fanfictions are written by Kurataki Humiharu since'19/11/04