エイコンブ様  『チキンバーガー♪』
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チキンバーガー♪



 博士は、グレートをお供にして学会に出掛けている。
 帰宅は午後6時の予定。
 僕は、腕によりをかけたご馳走を作る為、車で30分の場所にある郊外型のショッピングモールにいる。
 研究所を出たのが、昼近くだから、まあ、順調というところだろう。
 いや、昼まで寝てたわけじゃなくって、洗濯をして、掃除をして、布団を干して、何時博士が帰ってきてもイイように、料理以外は全て準備万端にしてから出掛けてきたんだから、褒めて欲しいよね。
 で、このショッピングモールで買い物がてらお昼を済ませることにしたんだ。
 自分独りの為に料理を作るって結構根性いるもんなんだよね。博士の為なら多少の手間は手間じゃないし、美味しいって食べてくれるから作りがいもあるし……。
 そんなわけで、僕はハンバーガーショップで簡単に済ませることにした。
 頼んだのはチキンハンバーガーとポテト、コーラーとがセットになったものだ。
 かさかさと包みを外して、さて、食べようかとハンバーガーを見たところ……。

 其処には、ああ、其処には……。
 
 いや、でも、一応は人間だったはずだ。
 少なくとも、鳥じゃないはずだ。
 まあ、鳥というあだ名もなくはないけど、でも、食用じゃないだろう。どっちかっていうと愛玩用っていった方が……。
 ああ、いや、アルベルトにとってみれば、ある意味食用かもしれないけど。
 って、僕、島村ジョーが食べようと包装を開けた其処にはパンに挟まれたジェットがいるわけだ。
 しかも、ちゃんとパンに挟まるサイズに縮小済みである。
 何と、コメントしたらよいのだろうか。
 いや、多分、これは夢だ。
 僕はきっと、疲れているんだ。
 そうだ。
 きっと、博士がいないから寂しくって奇妙な夢を見ているだけなんだ。
 そうだよ、目を覚ましたらきっと、博士が帰ってきて、寂しかったじゃろうって僕にとっても優しくしてくれて、お土産をくれたりして、そうしたら二人っきりで食事をして、お疲れ様って博士の肩を揉んであげたりして……。
 幸せな一時が……、僕に訪れるはずなんだ。
 目を瞑ってぇ〜〜、30も数えればきっと僕は目が覚めるに違いないんだ。
 さあ、ジョー、数を1、2、3………。





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