恋の行方は天に在り 『New year's pine decoration(2003年5月11日発行)』より
『ああ、そうだ、本当に些細なことだったのだ』 アルベルトはふと、この数日の出来事を思い出して、そう呟いた。 誰もいないギルモア邸は静まり返っていて、呟いた台詞が朗々と響くように聞こえてくる。 ギルモア博士の提案で全員で集まって新年を迎えるのは、長い付き合いではあるが、初めてのことであった。たまたま、闘いの中で新年を迎えた場合はささやかな料理で祝うことがあったとしても、全員で日本式の新年を迎えるというのは始めてなのだ。 アルベルトもコズミ博士から色々と日本の文化について聞かされていた。 コズミ博士は科学者でありながら日本の文化というものに造詣が深く、囲碁や将棋だけでなく、茶道や華道といったものにも精通していた。日本の深い精神的世界にアルベルト自身、魅了されてドイツに帰国してからも暇があればドイツ語に訳された日本の古典文学に触れる機会を持つようにしていた。 みんなの前ではあんな発言をしたが、アルベルトは決して日本の文化を疎んじているわけではないのだ。 まさに、売り言葉に買い言葉であった。 いや、正直言うと恥ずかしいぐらいの子供じみた独占欲であったのだ。 クリスマスからずっと、ジェットを独占出来た。 どんな時間もジェットが一緒に居た。 二人でNYのクリスマスを楽しんだ。 久しぶりに、心から楽しんだクリスマスであった。 多くの人込みを掻き分けて歩いた。 路上にはクリスマスで浮かれた人達が溢れ、夜にも拘らず街は騒がしかった。 移動遊園地があり、大道芸人達があちこちで技を競い。仮装パーティーに出向く人達の集団や、ドラッククィーン達のパレード。アルベルトにとってはまるでカーニバルの真ん中に放り込まれた気分であったが、ジェットの故郷だからといったとしても、その騒々しさが嫌とは思えないのが不思議だった。 人込みの苦手なアルベルトの手をジェットが取り、こっちだと笑いながら案内してくれたものだ。そして、二人で妙に値段の張るディナーを楽しんで、ジェットのアパートに帰ってくると、日本に出発するまで裸でベッドで抱き合って過ごした。 ベルリンで、会う時よりもジェットはリラックスしているようで、幾つものジェットの日常が垣間見られて嬉しかった。ジェットの職場の人達と偶然に鉢合わせをしてしまったのには参ったが、ジェットははにかみながらも、オレの大切の人だとそう紹介してくれた。そんなジェットの心遣いがとても、嬉しく思えたものだ。 二人でNYを発ち、日本にやって来たのは喧嘩したあの日の前の晩だった。 12月29日の遅くに日本に到着した二人は、レンタカーを借りてギルモア邸に向かい、そして仲間との再会を喜び合い、そこまでは楽しかった。 でも、それからジェットはフランソワーズべっとりで自分の傍には来てくれない、二人で楽しげに何かを話して、笑っている。余裕がないと言われても仕方がない。密着した日々を過ごしていたのに、急に見えるのに手の届く場所にいるのに触れられない環境というのはアルベルトには堪えた。 日本では新年を迎える飾りは、29日は飾ることを避ける。語呂合わせなのだが、29つまり憎むと日本語では読めるので良くないと言われて、一般的にその日を避けて飾るのが風習になっていることぐらいアルベルトも知っている。 だから、30日の朝、門松を飾るのだと博士が言い出しても驚くことではなかったのだ。 みんなとそういうことをするのが嫌だったわけではない。 すぐにフランソワーズに寄り添うジェットが気に入らなかったのだ。 分かっている。 彼とフランソワーズは決して男女の仲には成り得ないことぐらい自分が良く知っている。あの研究所の中で互いしか支えあう相手がいない中で二人は男女であることよりも家族であることを選択した。そして、今もその関係は続いていて、時として恋人以上の親しさをみせて、分かっていたとしても嫉妬してしまうことが少なくないのだ。 そんな嫉妬から出た言葉の数々と行動であった。 グレートが身を呈して止めてくれなかったら、自分はドイツ行きの便に乗っていたかもしれないし、ジェットに謝罪するチャンスすら逃してしまっていたに違いない。それでジェットとの関係が終るとは思ってはいないけれども、でも、修復するのに相当の努力と時間を有したであろう。 ジェットは戦闘に関しては押すことしか知らないけれども、人間関係に関してはある意味自分よりもずっと大人な部分がある。 確かに二人とも意地っ張りであることは認める。 でも、いつも仲直りの切っ掛けを作るのはジェットの方で、ごめんなさいとは口にしなくとも、不思議と仲直りが出来る雰囲気に持って言ってしまうのだ。そんなことは自分が良く知っている。 でも、簡単に性質は変えられないものだ。 ジェットはアルベルトに対しての気持ちを真っ直ぐに向けてくる。それは向けられるアルベルトが驚くほどに純粋で一途なのである。例え、言葉だけだとしてもそれを疑うようなことを言ってしまってジェットが傷ついたのは想像に難くない。 グレートのお陰で最悪の事態は免れたが、まだジェットと二人きりにはなれない。何と言ったらよいのか分からないのだ。だから、皆が近くの神社に初詣に行かないかと誘ってくれても、人込みが苦手だからとそう断った。 誰もいなくなったギルモア邸でただ、独りいる。 遠くでごぉーんと鐘の響く音がして来た。 教会の鐘の音とは違い、日本の鐘は腹の底に響く。振動すらも伝わってくるように重厚な音は聴き慣れると非常に心地が良いと思える。 一年の罪を洗い流す為に鐘を108鳴らすと言う風習。 自分のジェットに対してしてしまったことを洗い流せればとアルベルトはそう思った。窓辺に立つと真っ暗な海が見える。自分の心のようにざわめく波音を立てているのが鐘の音色の狭間に自らに届けられていた。 その暗い海の如くに思考を沈めていこうとして瞬間、アルベルトの部屋の扉がノックされた。2、3時間はかかるとジョーが言っていたし、皆が出掛けてからまだ10分しか経ってはいない、誰か忘れ物かと思いどうぞと返事をすると鼻の頭を真っ赤にしたジェットが立っていた。 「帰って来ちゃった」 へへへと悪戯が成功した子供のように笑う。 「黙って、帰って来たんじゃないだろうな」 と帰って来てくれたジェットを抱き締めたいくらいに、自分の所に来てくれたことが嬉しいのに、でも、男のプライドが邪魔をしてそれが出来ないのだ。如何にも保護者ぶった台詞で迎えるとジェットはうんと良い子の返事をする。 そして、冷たい空気を孕んだままジェットは、迷わず窓辺のアルベルトの胸に飛び込んできた。本当にふわりと自分の腕の中に舞い降りたようにアルベルトには感じられたのだ。その痩躯をしっかりと抱き止めるとジェットは笑った。 「明日、あんたと二人で行くことにした。初詣…。な、いいだろう?明日のお昼ぐらいなら、結構人込みじゃなくなるって、ジョーが教えてくれた。だから、オレと行こうぜ」 まるで、数日前に最悪な喧嘩したとは思えないそんな口調に、だから自分は決してジェットには勝てないのだと思う。いつまでたっても、密かに、年下の恋人に頭が上がらない。実は、ジェットがアルベルトを振り回しているように見えていたとしてもだ。 メンタル的な部分では、ジェットがアルベルトを支えてくれているのだ。 思考の海に沈みたがる傾向の自分を引っ張り出し、愛していると囁いて、前を向いて生きていこうと行く末を指し示し、傷付きやすい弱い自分をいつも抱き締めてくれるジェットはそんな恋人なのだ。 アルベルトの弱い、仲間にすら見せられない醜悪な部分すらも、全て許容して愛してくれる稀有の存在なのだ。 「でも、そのかわし、林檎飴買ってくれよな」 「ナンだ。林檎飴って…のは」 「見れば、わかるよ」 聞いたことのないものだが、林檎と言うからには食べ物なのだろうとアルベルトは一応、肯いてみせる。こうして自分から歩み寄った御褒美とでもジェットは言いたいのだろう。ジェットが欲しいなら幾つも買ってやると言うと、本当に嬉しそうな笑みを零して、ありがとうとアルベルトに登らんばかりの勢いでもう一度抱きついてくる。 その躯をしっかりと受け止めることが、アルベルトには幸せだと思える。 新しい年をジェットと迎える。 他に誰がいたって隣に彼が居てくれれば、それでよいではないのか、二人きりでなくともジェットの心の中には自分という存在が多く占めている。彼の心の全てを自分で埋め尽くせないことぐらい分かっている。でも、男の独占欲が顔を出して、ついジェットに無茶をふっかけてしまうのだ。 どんな一時であったとしてもジェットと分け合いたい。 苦しみも楽しみも嬉しさも全てとは言わないが、二人で共有出来るものは全て欲しい、欲張りと言われてもジェットに対しては譲れるものではないのだ。 生きている限り、の全ての愛をジェットに捧げてしまったとしても後悔などしない。それ程に自分はジェットの存在を欲しているのだ。 腕の中にある確かな感触。 二人を包むのは、荘厳な鐘の音とさざめく波だけである。そして、触れ合う肌から伝わるジェットの吐息。 「なあ、キスしようぜ。二年越しのキスをさ……」 ジェットは大人しく腕に収まったままそう言う。 視線を泳がせれば、室内に置いてある時計の針は12時を指し示す寸前であった。 そんなジェットの提案にもちろんアルベルト反対する理由もなく、答えの代わりにもっと深く自らの懐に抱き込むようにして口唇を重ね合わせる。 触れ合う口唇の感触に、傍にいながら触れ合っていなかった数日が惜しいと思える反面、そんな日もあったから、ジェットの存在が更に愛しさを増して感じられるとも思う。 口唇にある皺の一つまでも知覚出来るような、濃密な口付けに互いに酔っていた。数日振りの触れ合いが新しい年を迎える厳かな日本の空気が、二人を更に互いの存在に敏感にさせていく。 ああ、キスだけでは足りない。 と口唇を重ねたまま、互いの洋服を脱がし合いながら、ベッドへと雪崩れ込んでいった。 一時も離したくないと口唇を合わせたまま、互いの躯を弄る。部屋の中に居たにも拘らず冷たい固いアルベルト皮膚が、外に居たにも拘らずに温かなジェットの皮膚に触れて、その熱を吸い取っていく。 冷たいメタリックなアルベルトの躯はジェットから受け取る熱でしか、その躯が温かくなることなどないのだ。ジェットの発する熱だからこそ、心も躯もヒートする。それ以外の与えられる熱など最もアルベルトも望んではいない。 ジェットから体温を分け与えられるための冷たい躯だとしたら、自分の冷たいメタリックな外観ですら、許容できる瞬間があるのだ。 まるで、余裕のない若造のようにジェットの躯に触れる。 タウンジャケットを脱がせ、その下に来ていたセーターをアンダーウェアーごと引っ張り上げ、姿を見せた乳首を摘み上げると、ジェットはくぐもった声で啼いた。声も全て、貪欲なアルベルトに吸いこまれて行ってしまう。 自分ばかりは嫌だと、アルベルトのスラックスのジッパーを下げて手を入れると既に熱く滾る男がジェットを待ち侘びていて、体温の高いジェットですら、それに触れると熱いと感じられ、そっと握り締めて強弱をつけて握ると、ぴくんとそれは素直な反応を見せた。 自分の待ち侘びているアルベルトが愛しくてならない。 このまま繋がってしまいたい。 腰の奥が疼き、抑えていた数日の情欲が一気に噴出する。 自らの片手でスラックスのベルトを外し、ジッパーを下ろすと、それを察したアルベルトが僅かに腰を浮かした隙間からスラックスを引き抜いてしまう。 すらりとした白い足が薄暗い部屋に艶やかに浮かび上がる。ひらりと舞うように動く足は男の躯に蛇のように絡みつき、淫靡な姿を遠慮することなく夜気に晒す。 大きく足を広げて、男の躯をもっと傍にと近寄らせて、ぐっと抱き締め、深く口付ける。何も着けない下半身を握っている男の猛りに自らの腰を押し付けて自分も感じているとアピールを繰り返す。 傍に居て、抱いてもらえない。 視線にすら疼く躯を持て余して、幾度となく自分で慰めようとしたことか、でも、彼と抱き合うその一瞬を夢見てずっと口唇を噛んで堪えていたのだ。裸で抱き合ったクリスマス休暇は決して過去ではない。 まだ、過ぎ去ったばかりの、ジェットの肌にはその名残りが刻まれたままなのである。 忘れたくても忘れられるものではない。 「ぁあ、アル」 甘い吐息にアルベルトの男は更に硬く容量を増していく。早く貫かれたいと背筋を伝って疼きが躯中に浸透していく。淫らに足を開いて、彼を誘いたい。アナルを見せてここにと誘い込みたくて堪らない。 「あんたが欲しい」 「まだだ…」 特にセックスの時には意地が悪くなる恋人は簡単には、ジェットの望みをかなえてはくれない。散々に啼かされて、喘がされてようやく願いを聞き届けてもらえるのだ。でも、それは決して嫌ではなく。幾度も、繰り返された二人の愛を確かめる儀式でもある。 半端に脱がされたセーターの感触が疎ましい、全てを取り去って溶け合う程に抱き合いたい。 でも、今夜のアルベルトにも余裕はない。 ベッドサイドから滅多に使わぬローションを取り出すと、抱き込んだジェットのアナルに塗りつける。 「ひゃん…」 その冷たさにジェットは肌を泡立てるが、それよりもジェットに押し入りたかった。滾る欲望が腹を破って出てきそうに溜まっているのが分かる。一度や、二度では決して吐き出せないものが溜まっている。 それでも、ジェットはアルベルトを受け入れやすいようにと大きく足を開いて待ち侘びていてくれるのだ。 前戯すらもほとんどないのに二人の股間は、擦れ合うだけで硬度を増していく。恥毛がざりざりと音を立てて触れ合う、ジェットは前からと後からの快楽に次第に息を荒げていった。 「わりい。まてねぇ」 アルベルトはそういうと強引にジェットに押し入った。 きゅんと小さく窄まりながらも、アルベルトと幾度も抱き合ったジェットの躯は勝手にアルベルトを受け入れる態勢を整えて、猛る愛しい彼を受け入れていく。アルベルトに染められる自分の躯を知覚できることがジェットには嬉しい。 彼を受け入れる為に、自分の躯が変化していく。それに伴う痛みならば、それは即ち快楽に転化されしまうのだ。 最初は辛かった彼を受け入れる動作ですら、もう、入れられるのだと思うだけで快楽を躯が思い出して、勝手にアナルが綻んでいく気すらしてしまうのだ。硬くて大きい彼を深く受け入れて、眩暈がするほどに幸せだ。 望むのなら、彼のオンナであってもいい。 オンナのように喘いで、縋ったとしても、それが彼が望むのなら、そうなりたいと思う。 「あっ…、アル。っううん」 遠慮なく、強引に押し入って突き上げられる振動にジェットはアルベルトの太い首に縋るように抱きついた。彼が履いたままのスラックスのベルトのバックルにジェットのペニスが擦られる。痛みは快楽に摩り替わり、ジェットは甘く熱く啜り泣いた。 誘うように腰を揺らめかせ、しがみ付く首筋に熱い喘ぎを送り込み、アルベルトの聴覚を刺激する。 その喘ぎは直接下腹部に響いてくる。 その存在全てがアルベルトの情欲をそそってくれるのだ。 性別とかは関係なく、ジェットの躯だから情欲を覚える。そり辺りのオンナでは、もうアルベルトはその気になれはしないのだ。ジェットでなければダメなのである。心が伴わないセックスなどアルベルトには出来ない、愛情が介在して、初めて情欲を湧かせることが出来る。 とにかく、男の本能がぶちまけろと囁く。 自分に染めてしまえと、ただそれが頭の中でリフレインする。 幾度も突き上げて、腰を振り、ケダモノのような唸り声を上げてアルベルトは達してしまった。 「アル、逝った?」 アルベルトの下でやや乱れた吐息を含ませて、そう聞いてくれる。 「ああ、オマエは最高だ」 と一度、離れて、余分なものを取り去ってまだ達していないジェットを濃厚な愛撫で蕩けさせてやろうとそう思って離れようとした瞬間、アナルがぎゅっと締まり、出て行こうとするアルベルトを阻止した。 「ジェット」 口調は優しいが抗議の声を上げるアルベルトにジェットはずるいと口唇を尖らせた。 あんただけ逝って、俺はどうなるのとそう潤んだ瞳が聞いていた。ジェットだって自分達のセックスが一度で済まないのは分かっていることなのに、わざとそうやって自分を煽るのだ。 それでも強引に引き抜くと可愛らしい喘ぎが上がる。 そんなジェットから未練を残しつつも離れ、ベッドの端に腰掛けるようにしてベルトのバックルを緩めようと手を掛けた。その瞬間、背後から甘えを含んだ声がかかる。 「ねえ、アル、欲しくなんねぇ」 そう誘いかけたジェットの、門松を作るのに使った南天の実のように艶やかな姿がそこにはあった。 上半身を枕に預けて大きく足を開げ、腰を僅かに浮かせている。アルベルトが放った残滓が入り口に残るアナルを自らの指で広げるととろりと其処から白濁とした液体がシーツに吸い込まれていく。 強引に引き抜いたアナルは綻び、少し赤い内壁が見え隠れしていて、手招きするように幾度も収縮を繰り返しては時折、白濁とした液体を吐き出す。 其処から目が離せなかった。 ようやく目を引き剥がして、視線をジェットの顔に合わせようとその焦点を少し上げると、勃ち上がったペニスも寒さで縮んだ玉袋も全てがアルベルトの目の前に興されている状態にある。白いすんなりとした足の先端には靴下を履いたままで、すらりと伸びる首筋から骨の浮いた肩にかけてはセーターで覆われているが故に、剥き出しの下腹部が全裸で居る時よりもより一層エロティックに映る。 薄暗い照明の中に浮かぶ白い裸体。 惜しげもなく晒される媚態にアルベルトが勝てるはずもないのだ。 「オレのここ」 そう言ってジェットは更にアナルを大きく自らの指で広げる。 「あんたのミルク欲しいって泣いてるぜ」 「仕方ねぇな」 ジェットの誘いを断ることなんか出来はしない。何故なら、そんなジェットをアルベルトは愛しているし、彼が求めてくれなくともセックスをしたい欲望は有り余るほどに持ち合わせているのだ。 足首を持って自分の方に乱暴に手繰り寄せ、躯を反転させて白いまろやかな双丘を高く上げさせる。入り口をひくひくさせてアルベルトの来訪を待ち侘びているアナルの入り口を捲り上げるように指の腹で擦ると、ジェットは甘い喘ぎをシーツに落とし、何かに縋るかのように手を伸ばして枕を掴んだ。 そんなジェットの表情から、赤味の掛かった金髪の産毛が生える襟足を視線で舐めて、震える肩から背筋を後から指で辿り、魅惑的なその坩堝に一度放っても尚、硬度を保つペニスを強引に捻りこんだ。 歓喜に満ちた嬌声が上がり、赤味の掛かった金髪が幾度も白い自らの背中をぱちぱちと打った。 アルベルトは厳かに響く鐘の音に合わせて、ゆっくりと抜き差しを始める。 「あっ……。っく、ぁぁぁん」 甘えるように腰を擦り付けて、背中をジェットは反らしてその動きに呼応する。 厳かな鐘の音に合わせて、くちゃくちゃと粘膜が擦れる音がして、その合間を縫うように波の音と、荒くなるジェットの吐息が響く。いつもと同じなようで、いつも毎回セックスは違うのだ。 一度として同じなどありはしない。 来年も一緒に、新たな年を迎えられるかなどそれは分かりはしないが、確かに言えることは、自分が生きている限り幾度もこうしてジェットを抱きたいと思うし、躯だけでなく心も触れ合いたいと願う。 ジェットの白い裸体に溺れながらも、アルベルトはただ、いつまでもジェットと居られるようにとそれだけを願っていた。 |
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From 'New year's pine decoration' of the issue 2003/05/11