哄笑する闇夜のヒロイン



 ほんと、オトコってバカだと思うわ。
 まあ、そこが可愛いところだって思えるんだけどね。
 と、思わなかったらあたしはやってはいられない。
 あたしと運命共同体の男共は、美人のあたしを差し置いてどうも、ホモに走る傾向にあるらし人間、普通の男だったら、自分の死期が近いと悟ると子供を作ろうとの本能が働くんだけどね。
 動物にも劣る、バカな男共があたしには奇妙にいとしく思えるようになってから随分と経ってしまっている。
 ついさっき、あたしの部屋に顔だけ除かせて『今夜、実行するから』なんて言ってすぐに姿を消したジョーなんかは、戦いの中に於いては男の子だと思うし、ちゃんと間違いなくヒーローしてるのによ。
 でも、ギルモア博士が絡んだ途端に乙女になるのよ。
 もう、あたしなんか太刀打ちできないっていうか、正直、恥ずかしくっておんなじ真似できないわよ。ギルモア博士にちょっと褒められただけで、指を胸の辺りで組んで、首を傾げて、頬を染めるなんて…、似合うから彼の場合、ある意味怖いんだけど…。
 こうみえても、恋愛ハンター・フランソワーズって昔は言われてたのよ。落とせない男も女もいないって豪語していたこのあたしがよ。今だって、あの頃の美貌は何一つ衰えてないってのに、どうしてモテないのか不思議だわ。赤ん坊のイワンとギルモア博士は置いておいてもよ。年頃の各方面でのタイプ別いい男がそろってる00ナンバーにあって、あたしに恋愛という意味で感情を寄せるのが一人もいないってことなのよね。でも、あいつらと恋愛するのも真っ平ゴメンなんだけど。
 いくらサイボーグにされちやったからって、手近で間に合わせるのはあたしのプライドが許さないし、ホモの巣窟の中にいるとマトモな恋愛がバカバカしくなることもあんのよ。別に、イイオトコがいたら恋愛してもいいし、ベッドインしてもいいわよ。
 でもね。少なくとも仲間たちの中にはそんな感情を抱く相手はいないってこと。
 でも、決して、彼らが嫌いじゃないのよね。
 ジョーはホント普段は可愛い子なのよね。一途に、まあ、かなりズレてるってのはあるけど、ギルモア博士を愛しててね。ベッドインできなくっても博士のそばに居るだけでいいなんて健気なことを言ってる。
 あたしも、別に、博士とジョーがデキてしまったからって、今更、どうこう言わないけどね。博士には長生きしてもらわないと困るのよ。博士が居なくなったらあたしたちのメンテは誰にしてもらえばいいのよ。一応、博士はそのあたり考えて、自分の後継者になる人物の人選には当たってるらしいけど。少なくとも、あたしたち絡みだと色々まあ、BG団とか、オプションが多過ぎて難しいらしいのよねぇ。
 だから、ジョーの上で腹上死だけは困るのよね。
 ちゃんとあたしたちのメンテをしてくれる信頼のおける人が見付かって、あたしたちと一蓮托生で、社会の裏街道を驀進してくれるなんて奇特な人が見付かったら、別に、博士の最期としては華々しくって、いいんじゃないって言ってあげられるわ。
 それに、ジョーもそれなら納得して未亡人ごっこをして、50年くらいは楽しんでいられるんじゃないのかしら?
 その辺があの子は乙女の典型なんだけど・・・。ちょっとズレてるのが困りモノよ。まあ、そんなところがあるからあたしは楽しめるんだけどね。
 子憎たらしいドイツ人と可愛いあたしの子猫ちゃんのジェットがあんまりあたしの目の前でイチャイチャするから、あたしはドイツ人に腹を据えかねていた。別に、ジェットはいいのよ。あの子のほんのり頬を染めている姿は本当に愛らしい。ついぐりぐりとしてしまいたくなる可愛さがあるのよ。
 ジョーとは女同士の親友同士って感じだけど、ジェットは可愛い弟って感じなのよ。二人とも、もちろんあたしの可愛い坊やたちなんだけど、ジェットの相手のドイツ人はとにかく気に入らないのよ。
 BG団の研究所で長い間、あたしとジェットは二人で身を寄せて生きていたわ。辛いことも、楽しいことも、全て分かち合って生き抜いてきた。生きてここを出て再び、太陽の光と咲き乱れる花を見る為に、どんな仕打ちを受けても歯を食いしばって生きていこうって、辛い日々を乗り越えてきた。
 なのに、突然、やってきたあのドイツのイモ野郎は、ジェットを横から掻っ攫っていったのよ。ジェットがあいつに本気で惚れてなかったらどんな手を使ってでも破棄処分になるように仕向けたものを、ジェットが惚れてる限りは、あたしはあいつに嫌がらせくらいしか出来ないのよ。
 ちくしょ〜。
 ああ、腹が立ってきた。
 だから、ジョーを嗾けて、ってわけなのよ。
 ああ、意味がわからないか?
 ジョーも自分の目の前でイチャイチャ、まあ、あたしの目から見れば、そんなに熱烈なまあ、雰囲気は熱々だけど、やってること自体はそうでもないんだけど、大和撫子のジョーには結構、クルものがあるみたいで、子犬が機嫌を損ねたみたいに、うーうー唸ってたのよね。
 そのままにしておいても良かったんだけど、ジョーをそのままにしておくとナニをしでかすかわかんないから、ガス抜きとあたしの意趣返しも含めて、ジョーに入れ知恵をしてあげたのよ。もちろん、ネタ提供はネット上のいけないお友達連中なんだけどね。
 その楽しい、お友達についてはまたの機会に話してあげるけど……。
 でも、それは冗談半分で本当に実行するとは思ってなかったわよ。
 ナニ、考えてんのって思いながらも、あたしは実はこの不便だけど、こういう時には便利な能力を駆使して可愛いジェットの股間に描かれたモノを目の当たりにしている。
 あら、可愛いじゃない。
 ジョーって意外に絵が上手いのね。
 今度、唆して、何か描かせてみようかしら? 博士と自分のエッチシーンなんて喜んで描きそうよ。ネット友達に聞いたコミケで売って一儲けしようかしらねぇ。
 あたしはこの能力を微調節して、ジェット以外を視界に入れないようにしている。もちろん、ドイツのイモ野郎の汚いブツなんか見られるもんですかっ!
 お風呂も一緒に入ったりするから、ジェットのは見慣れてるし、ジェットのは本人と一緒でとっても可愛いのよ。だから、いくらでも見てあげるけど…ね。
 さぁて、後のお楽しみは明日、ジョーがジェットがどんな反応を見せるかよね。
 だって、これくらいの楽しみがないとやってられないわよ。
 バカだと思うわよ。
 実行する方もされちゃう方も、でも、嗾けたあたしも、付き合ってるあたしも、経緯を観察してるあたしも結構バカなのかもしれないわ。
 ホント、みんな、バカよね。
 ねぇ、そう思わない?





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The fanfictions are written by Urara since'02/09/12