同衾
オレは、地下にある巨大な遺跡へと続く迷路を歩き続けていた。 服装は防護服じゃなくて、どういうわけかインディー・ジョーンズのような格好をしている。確かに、夕食が並ぶまでの時間潰しにモンタナ・ジョーンズという番組を見て、インディー・ジョーンズに似てるなぁ〜、なんて考えた。 明日、ジョーの買出しに付き合うついでにレンタルビデオ屋で借りてこようなんて、思ったりして、ジョーに借りてもらえるように頼んでみたりもしたさ。 日本でビデオを借りるにしても、オレは会員証を持ってないからフランかジョーに頼むことになるんだけど。 ああ、オレってばナニしてるんだっけ? そうそう、地下の巨大迷路に挑戦中だったんだ。 このダンジョンを抜けないと、お宝に続く道はないわけで?? いや、こんなゲームあったけ? やった記憶がない。だいたい、オレはほとんどRPGはやらない。もっぱらシューティーングか格闘はたまたレーシングが好きだったはずじゃないか? オレの鼻ッ先を槍が飛んでいく。 寸でで避けたが一歩間違えば、鼻を壁に縫い留められてサイボーグ002の標本が出来ちまうとこだったぜ。 どうせ縫いとめられんならさ、アルにベッドに縫い留めてもらいたいもんだ。 全く、どうして、独りでこんなところを歩いてるんだ。 だいたい、探検なら他のメンバーが一緒でもいいじゃないか。迷路の攻略ならフランが得意だし、指示をやたらと出したがるイワンだっているのに、どうしてオレ独りなわけよ。 何で、最後にこうなるわけで。 地図には此処を開けって書いてあるじゃねぇか。 どうして地図通りにしたはずなのに、オレは壁に追いかけられるんだよ。壁をぶち壊すのはジェロニモが得意だろうに、いや、ここで、だいたいアルの出番でマイクロミサイルで壁をぶっ飛ばして、ハカイダーみてぇにニヒルに現れるってのが、定石だろうってばよ。 で、オレがサンキュって言ったりなんかして、借りはベッドで返してくれよ……、何て囁やかれたりちゃったりなんかして。 って妄想してる場合じゃねぇっつうの。 上も下も、前も後も行き止まりで、トドのフン詰まり状態だ。 後からは壁、前にも壁、天井に穴あけてなんちゅう芸当はオレには無理だ。足の下も頑丈そうな岩盤仕様だ。 どうしたらいいんだぁ〜と、叫んた瞬間。 オレは壁の間に挟まっていた。 けどよ。 岩の壁に挟まれてるにしちゃぁ、なんか感触が違う。背中から伝わる感触は懐かしい? というか、覚えの有り過ぎる感触で、程よく冷たくて堅いその感触は岩の感触じゃない。でも、挟まれたまんまちゅうのは格好が悪いし、とにかく逃げ出す為に少しでも躯をずらそうとした瞬間。 堅い物がケツに当たる?? 何だ? 突然、ケツの辺りの岩だけもっこりとするわけねぇよな。 この感触ってば……。 覚えがある。 何処でだったけ?? つい最近で、当り前で、結構、好きな感覚だったりしたはずなのに、オレは全然思い出せない。 岩の壁の間に挟まれたままオレは考えた。 「どうなってんだよぉっ!!」 オレはオレ自信の叫び声で目が覚めた。 壁の間でサンドイッチになったままの夢から覚めたオレはちょっとだけ、ほっとしたけど……、すぐに現状が夢の中とあまり変わらないことに気付いた。 目の前には壁がある。 確か、昨日はアルとアルの部屋ですることをして、狭いベッドで抱き合うように眠りに就いたところまでは記憶している。 アルの部屋のベッドは片面が壁にぴっちりとつけられているのだ。 従って俺の目の前には壁がちゃんとある。 ってことは背後に迫っているのは……と、オレは確かめるように腕を後に回して背中にぴったりと密着している物体に触ってみた。堅い感触が掌から伝わってきた。この曲線は間違えなく、いや、間違えようもない。恋人の躯であったのだ。 半分潰されるように圧し掛かられているが故に、壁に押しつぶされる夢を見ていたのだ。 で、ケツに当たっていたもっこりはアルのブツだったのだ。 何だと、オレは安堵の溜息を吐いた。 アルの躯が半分圧し掛かったままだけれども、心地良い重さだ。全く、重たくないってほけじゃないけど……。 人と触れ合うことが嫌いなアルが無意識でもオレに引っ付いてくる行為はとても嬉しい。 オレは少し窮屈だけれども、嬉しい状態で、再び、小さく溜息を吐いた。 |
The fanfictions are written by Urara since'04/01/19