魔法使い



 大きなふかふかのベッドは奴のお気に入りの場所だ。
 それはどんな外見をしてたって一向に変わることはない。


 俺は特に召還を得意としている魔術師だ。
 若い頃は自分の能力を過信して随分と無茶をしたものであるが、この年になってようやく自分の限界と能力が見えてきた。つまり、油の乗った現役バリバリということだ。
 無茶をした結果が、目の前で皇かな白い肌を惜しげもなく晒して、ベッドの上で伸びをしている少年と、機械化された俺の躯であるのだ。死にかけていた俺を助けてくれた師であるギルモアは特に機械を使うことに長けた魔術師であったのが、幸いしたとでもいおうか。
 まあ、そんなところというわけなのである。
「なぁ、アル……、もう終わり?」
 猫が獲物を追いかけるかの如くに、ペロリと舌舐めずりをしてみせる。猫のようにではなく普段の姿は黒い子猫なのだから、そのものといった方がイイのかもしれない。
 確かに、こいつを召還したのは俺だし、契約も交わしていて、元悪魔のこいつは現在俺の使い魔になってはいる。冷酷で残酷なことでは魔界でもそれなりに名が通っていたというのだが、俺の目の前でおねだりをする奴からはそんなところがあるとは思えないのだ。
「お前は、どうして、そんなに欲張りなんだ。ジェット」
「言っただろう?」
 ジェットと呼ばれる少年は、尾てい骨辺りから生えた先端が三角に尖った尻尾を起用に、俺のペニスに巻きつけてくる。
「仕方ないじゃん。オレ、あんたの精液がないと死んじまうんだぜ。オレの力の源なんだ。あんたが三度の食事をするみたいに、ちゃんと食わしてもらわねぇと、飢え死にしちまう。それでなくたって、この間の仕事で随分消耗してるんだ。まだまだ、足りない」
 ベッド端に座って、煙草をふかしている俺にジェットは更ににじり寄ってくる。
 俺だって、セックスが嫌いじゃないが、主導権を握られるセックスは好きじゃない。けれども、ジェットといるとどうも調子が狂う。最後には、俺に抱かれてよがり狂うくせに、誘いをかけてくるのはジェットの方ばかりなのだ。
 俺にその気があろうと、なかろうと関係ないらしい。
 まあ、本能的な問題だから仕方ないとしてだ。
 既に、3ラウンド終了している。
 いくら体力に自信があるとはいえ、少しは腹に何か入れないと力が湧かないが、ジェットの尻尾は執拗に俺のペニスにまとわりついて離れないし、モノ欲しそうな青い瞳が俺の腰を重たくさせるのだ。
「動くな」
 とジェットの本当の名前を呼んで、自分の方へと抱き寄せた。
 本当の名前を俺に知られているジェットは、俺の本気の命令には逆らうことが出来ない。まるで、両手両足が拘束されているかのように俺のなすがままにされている。
 うつ伏せにし、腰を高く上げさせて、俺の精液が漏れてきているアナルを中心に、その精液で小さな魔方陣を描いた。
そして、呪文を唱えると、途端にジェットの背中が震え始める。
「どうだ。たまんねぇだろう」
 ジェットの指がシーツをしっかりと握り締める。
「っああ、んっ」
 ジェットのアナルに直接、大人の玩具って奴を召還してやった。こいつは、魔術師が使い魔を性的に呪縛する為に特別に作らせた代物だから、簡単には外せないし、まあ、どのみち俺の命令で動くことすら出来ないはずだけれど。
「キモチ、イイダロウ?」
「っああ、イイッ……、いいよぉ〜。ぁあっああん」
 更に、俺は勃ち上がり、透明の先垂れを流しているジェットのペニスに黒いしなやかな尻尾を回して、思いっきり縛ってやる。これで、ジェットはたまらない愉悦を味あわさせることになるだろう。
 尻尾には細やかな神経が通っていて、もちろん通常の皮膚よりも感覚は敏感なのである。時には昆虫でいうところ触角と同じ働きをする場所でもあるのだ。だから、触れられただけで、下手をすると達してしまう程に感じてしまう性感帯でもある。
「イタッ!!」
「イタイ、じゃない。イイダロウ?」
 と訂正してやるとジェットはかくかくと首を縦に振った。
「俺は、メシを食ってくる。その間、そうやって楽しんでな。帰ったら、可愛がってやるからな」
 俺のそんな台詞にジェットの抱いて欲しいとの哀願を言葉と躯で目一杯表して、俺のご機嫌を取ろうとするが、そいつを黙殺して、ベッドの置いてある部屋を後にした。だいたい、奴が俺に媚を売るのはセックスの時だけだから、楽しませてもらってもバチは当たらない。
 所詮、俺の使い魔なのだから……。
 扉の向こうからのひっきりなしのジェットの嬌声をBGMに、鼻歌を歌いながら近所のメシ屋に出掛ける支度を始める。
 もちろん、腹を満たす為でもあるが、戻ってきた時のジェットの姿も楽しみの一つだ。
「マスター、ご主人様…っぁぁ、っぁぁあん」





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The fanfictions are written by Urara since'04/02/09